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川浦教育システム・えいごはうす
岸和田市・春木にある個別学習塾、「川浦教育システム」です。ネイティヴ講師の英会話教室「えいごはうす」も併設しています。
Posted at 2012.02.03 Category : 教育情報
中学校の教科書改訂について(2)
前月に続いて中学校の教科書改訂についてです。詳しくはこちら(pdfファイル)をご覧ください。また前月の内容はこちら(pdfファイル)をご覧ください。
平成24年4月から、全国の中学校で新学習指導要領が実施され、質・量とも大幅に増える新しい教科書(新過程)での学習が始まりますが、先月に続いて「中学校の教科書改訂についてのレポートをお届けします。今回のテーマは「新しい教科書(新課程)の特徴(全般)」です。
5.新しい教科書(新課程)の特徴(全般)
A.活用的学習(言語活動)を重視
これまでの学習指導要領では、基本方針に「新学力観」や「言語活動」などといった表現が盛り込まれてきましたが、OECD(経済協力開発機構)による学習到達度調査(PISA)での日本の順位低下の結果等を踏まえ、今回の改訂では、あらゆる学習の基盤となる「言語力」を育成するため、「言語活動」を通じた「活用力」を高める取り組みを重視しています。例えば、英語では「言語活動」が一層強調され、実際に英語を使うことを意識したページやコーナーの扱いが目立ち、英語で数学や理科の問題を提示する教科書の出現など、今までにない言語活動素材の提供が試みられています。また、国語では教科書本編以外に、読解テクニックを養成するコーナーや基礎編や資料編などを大幅に拡充し、社会でもほぼ毎ページで「言語活動」のテーマがあげられている教科書があるなど、従来とは様変わりです。さらには、数学や理科でも、「様々な知識を総合して考える」「思考過程を説明させる課題を提示する」「レポートの書き方など実践的な取り組みをする」などが強調されるなど、各科目の教科書において、言語活動と活用的学習への取り組みが大幅に増加しています。
B.歯止め規定の撤廃
文部科学省は、今回、平成14年の「ゆとり教育」学習指導要領までの「これ以上のことを教えてはならない」という「上限規定」から、「最低限扱わなければならないことをクリアしていれば、それ以上は何をどれだけ扱うか、どの程度プラスαの内容を載せるのかは教科書によって違って構わない」という「下限規定」に180度転換しました。実はこの教科書づくりのルール変更は、平成18年の教科書改訂時に既に導入され、現行教科書には、下限を超える学習内容が「発展的学習」として掲載され、今日に至っています。ただし、学習指導要領そのものの変更ではなかったため、「発展的学習」の指導は教育現場の裁量に委ねられ、中途半端まま推移してきています。
「発展的学習」は、4月からの新課程でも継続することになりますが、その内容は現行のものとは大きく異なります。つまり、現行の「発展的学習」が旧課程の「ゆとり教育」で削られた内容を埋めるためのものであったのに対し、4月からの新しい教科書では旧課程で削られた内容の多くが復活しますので、新課程の「発展的学習」は、さらに上をいく非常に高いレベルのものになるということです。
新課程の「下限規定」の導入により、新しい教科書の内容のすべてを、学校の授業で学習するとは限らなくなりました。授業でプラスαの部分まで学習するかどうかは「クラスの状況に応じて判断する」ということになっていますが、地域ごと、学校、クラスごとに、学習内容・進度にばらつきが出てくることは否めません。また高校入試では、プラスαの部分は出題しないという配慮がなされるようですが、その範囲と程度についての統一的な見解、判断が大変難しく、受験生を取り巻く環境が、今まで以上に厳しくなると思われます。
C.教科書の「取扱説明書」化
新教科書の特徴の一つとして、「教科書の使い方」がすごく細かく、丁寧に説明されるようになっています。ただし、教科書紙面に様々なマークやコーナーが設けられ、一見して、何を学び、どう考え、どの様に使うのかの意図が分かりづらくなっています。まるで電気製品などの「取扱説明書」のようです。また「ノートの取り方」をきめ細かく指示したり、従来なら教師用の指導書にあった指示や、教師それぞれが工夫して教えていた事柄が、生徒用の教科書に直接示されたりしています。さらには、従来は見られなかった多量の例題や練習問題、丁寧な解説・解答が掲載されるなど、教科書そのものが大きく変化しています。「学習項目の増加」「問題の増量」「活用的な学習の重視」「発展的学習の継続と高度化」と、数多くのテーマと内容がぎっしり詰まった、まさに盛りだくさんの内容です。
一方で、学習時間の面から見ると多くの矛盾点があります。指導時間だけをとっても、考える時間を必要とする素材が増えることで、より多くの指導時間が必要になります。しかも教科書内の練習問題数を増やしているのですから、定着のための問題演習時間も増やさなければなりません。しかし、これらの両立が可能なほど、潤沢な指導時間が学校現場に用意されていません。確かに新しい教科書は、自ら学ぼうとする意欲あふれる生徒には非常に効果的です。教科書の使い方、ノートの取り方だけでなく、これまで授業で先生が説明してくれていたことまでが教科書に載っておれば、生徒が自分で学び、考え、学習を進めていくことができます。
新しい教科書が、量的にも質的にも高度化し、中身が盛りだくさんで丁寧になった結果、教科書自体がいわば「取扱説明書」のような存在になりました。例えば、電気店でテレビを買ったとしましょう。家に持ち帰り、梱包を解くと、テレビ本体とともに、電源、各種の機器との接続コード類、BSを見るためのカード類、リモコン等々がいろいろと出てきます。もちろん取扱説明書も入っています。でも電気店の人や家族、友人など詳しい人にやってもらう以外は、テレビをちゃんと見られるようにするには、自分自身で様々な設定をしなければなりません。ここで取扱説明書の登場です。取扱説明書を読み、配線や機器との接続をし、チャンネル、画像、音声などの様々な設定をして、やっとテレビを見ることができるようになります。テレビだけでなく、パソコンや携帯電話などでも、時代の移り変わりに伴って、便利になり機能が増えた分、設定や運用のための取扱説明書がより詳しく、分厚くなってきています。
ここで、生徒が分厚い「取扱説明書」=教科書をしっかり読み、理解し、活用できるかという点がとても大事になってきます。テレビや携帯電話なら、製品を買った直後だけとか、必要な時だけ取扱説明書を見ればいいのですが、教科書は生徒にとって毎日、不可欠なものです。一方、教科書の「取扱説明書」化は、学校での授業時間の絶対数不足という現状を踏まえ、指導者(教師)の指導能力(スキル)に対する不安から、授業自体を教師主導から教科書主導に移行していく表れと受け取ることができます。こういう背景を踏まえ、新しい教科書では、建前上生徒が教師を介さずとも自学自習できるのですから、授業でやらなかった教科書範囲が学校のテストや高校入試に出題されても誰も文句を言えません。結局は学習とその結果は生徒の自己責任なのですから。
今回のレポートは、教育開発出版社「情報セミナー2012 テキスト」などを参考に作成しました。次回のレポートでは、新しい教科書(新課程)の教科毎の状況や問題点などを述べたいと思います。
前月に続いて中学校の教科書改訂についてです。詳しくはこちら(pdfファイル)をご覧ください。また前月の内容はこちら(pdfファイル)をご覧ください。
平成24年4月から、全国の中学校で新学習指導要領が実施され、質・量とも大幅に増える新しい教科書(新過程)での学習が始まりますが、先月に続いて「中学校の教科書改訂についてのレポートをお届けします。今回のテーマは「新しい教科書(新課程)の特徴(全般)」です。
5.新しい教科書(新課程)の特徴(全般)
A.活用的学習(言語活動)を重視
これまでの学習指導要領では、基本方針に「新学力観」や「言語活動」などといった表現が盛り込まれてきましたが、OECD(経済協力開発機構)による学習到達度調査(PISA)での日本の順位低下の結果等を踏まえ、今回の改訂では、あらゆる学習の基盤となる「言語力」を育成するため、「言語活動」を通じた「活用力」を高める取り組みを重視しています。例えば、英語では「言語活動」が一層強調され、実際に英語を使うことを意識したページやコーナーの扱いが目立ち、英語で数学や理科の問題を提示する教科書の出現など、今までにない言語活動素材の提供が試みられています。また、国語では教科書本編以外に、読解テクニックを養成するコーナーや基礎編や資料編などを大幅に拡充し、社会でもほぼ毎ページで「言語活動」のテーマがあげられている教科書があるなど、従来とは様変わりです。さらには、数学や理科でも、「様々な知識を総合して考える」「思考過程を説明させる課題を提示する」「レポートの書き方など実践的な取り組みをする」などが強調されるなど、各科目の教科書において、言語活動と活用的学習への取り組みが大幅に増加しています。
B.歯止め規定の撤廃
文部科学省は、今回、平成14年の「ゆとり教育」学習指導要領までの「これ以上のことを教えてはならない」という「上限規定」から、「最低限扱わなければならないことをクリアしていれば、それ以上は何をどれだけ扱うか、どの程度プラスαの内容を載せるのかは教科書によって違って構わない」という「下限規定」に180度転換しました。実はこの教科書づくりのルール変更は、平成18年の教科書改訂時に既に導入され、現行教科書には、下限を超える学習内容が「発展的学習」として掲載され、今日に至っています。ただし、学習指導要領そのものの変更ではなかったため、「発展的学習」の指導は教育現場の裁量に委ねられ、中途半端まま推移してきています。
「発展的学習」は、4月からの新課程でも継続することになりますが、その内容は現行のものとは大きく異なります。つまり、現行の「発展的学習」が旧課程の「ゆとり教育」で削られた内容を埋めるためのものであったのに対し、4月からの新しい教科書では旧課程で削られた内容の多くが復活しますので、新課程の「発展的学習」は、さらに上をいく非常に高いレベルのものになるということです。
新課程の「下限規定」の導入により、新しい教科書の内容のすべてを、学校の授業で学習するとは限らなくなりました。授業でプラスαの部分まで学習するかどうかは「クラスの状況に応じて判断する」ということになっていますが、地域ごと、学校、クラスごとに、学習内容・進度にばらつきが出てくることは否めません。また高校入試では、プラスαの部分は出題しないという配慮がなされるようですが、その範囲と程度についての統一的な見解、判断が大変難しく、受験生を取り巻く環境が、今まで以上に厳しくなると思われます。
C.教科書の「取扱説明書」化
新教科書の特徴の一つとして、「教科書の使い方」がすごく細かく、丁寧に説明されるようになっています。ただし、教科書紙面に様々なマークやコーナーが設けられ、一見して、何を学び、どう考え、どの様に使うのかの意図が分かりづらくなっています。まるで電気製品などの「取扱説明書」のようです。また「ノートの取り方」をきめ細かく指示したり、従来なら教師用の指導書にあった指示や、教師それぞれが工夫して教えていた事柄が、生徒用の教科書に直接示されたりしています。さらには、従来は見られなかった多量の例題や練習問題、丁寧な解説・解答が掲載されるなど、教科書そのものが大きく変化しています。「学習項目の増加」「問題の増量」「活用的な学習の重視」「発展的学習の継続と高度化」と、数多くのテーマと内容がぎっしり詰まった、まさに盛りだくさんの内容です。
一方で、学習時間の面から見ると多くの矛盾点があります。指導時間だけをとっても、考える時間を必要とする素材が増えることで、より多くの指導時間が必要になります。しかも教科書内の練習問題数を増やしているのですから、定着のための問題演習時間も増やさなければなりません。しかし、これらの両立が可能なほど、潤沢な指導時間が学校現場に用意されていません。確かに新しい教科書は、自ら学ぼうとする意欲あふれる生徒には非常に効果的です。教科書の使い方、ノートの取り方だけでなく、これまで授業で先生が説明してくれていたことまでが教科書に載っておれば、生徒が自分で学び、考え、学習を進めていくことができます。
新しい教科書が、量的にも質的にも高度化し、中身が盛りだくさんで丁寧になった結果、教科書自体がいわば「取扱説明書」のような存在になりました。例えば、電気店でテレビを買ったとしましょう。家に持ち帰り、梱包を解くと、テレビ本体とともに、電源、各種の機器との接続コード類、BSを見るためのカード類、リモコン等々がいろいろと出てきます。もちろん取扱説明書も入っています。でも電気店の人や家族、友人など詳しい人にやってもらう以外は、テレビをちゃんと見られるようにするには、自分自身で様々な設定をしなければなりません。ここで取扱説明書の登場です。取扱説明書を読み、配線や機器との接続をし、チャンネル、画像、音声などの様々な設定をして、やっとテレビを見ることができるようになります。テレビだけでなく、パソコンや携帯電話などでも、時代の移り変わりに伴って、便利になり機能が増えた分、設定や運用のための取扱説明書がより詳しく、分厚くなってきています。
ここで、生徒が分厚い「取扱説明書」=教科書をしっかり読み、理解し、活用できるかという点がとても大事になってきます。テレビや携帯電話なら、製品を買った直後だけとか、必要な時だけ取扱説明書を見ればいいのですが、教科書は生徒にとって毎日、不可欠なものです。一方、教科書の「取扱説明書」化は、学校での授業時間の絶対数不足という現状を踏まえ、指導者(教師)の指導能力(スキル)に対する不安から、授業自体を教師主導から教科書主導に移行していく表れと受け取ることができます。こういう背景を踏まえ、新しい教科書では、建前上生徒が教師を介さずとも自学自習できるのですから、授業でやらなかった教科書範囲が学校のテストや高校入試に出題されても誰も文句を言えません。結局は学習とその結果は生徒の自己責任なのですから。
今回のレポートは、教育開発出版社「情報セミナー2012 テキスト」などを参考に作成しました。次回のレポートでは、新しい教科書(新課程)の教科毎の状況や問題点などを述べたいと思います。


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